2011年2月  1.家庭の尊重
 家庭は私たちのもっとも身近にある共同体です。私たちはこの共同体の中でこの世に生を受け、特に人生の初期において、人との絆をそこで学び、成長してのち新たな家庭を築き、その中で看取られます。神のひとり子が人間の家庭を通して私たちの間に来られ住まわれたことは、この共同体が神の愛の顕(あらわ)れであり、天地創造の時から神の救いのご計画に参与するものであることを示しています。
 しかし今日、このいのちの場としての家庭が、さまざまな危機に直面しています。子どもの虐待、ドメスティック・バイオレンス、家庭内の不和、離婚、お年寄りの孤立などの事態は、私たちの身近で、あるいはニュースなどで、あまりに多く日常的に接するため、私たちの感覚が麻痺しまいがちなほどです。
 教皇ヨハネ・パウロ二世は使徒的勧告『家庭 −愛といのちのきずな−』の中で、家庭のかけがえのない尊さを説き、次のように書いておられます。
「家族の交わりは、大きな犠牲の精神があって、完成されます。事実、それはいつでも理解し、忍耐し、ゆるし、和解しようとする互いの惜しみない開かれた心が前提となります。利己主義・不一致・緊張・争いが家族の交わりをどれほど破り、時として致命的に傷つけてしまうかを誰もが知っています。まさにここから、家庭生活におけるさまざまな分裂が生まれてくるのです。しかし同時に、すべての家庭は平和の神によって「和解」すなわち交わりが再びなされ、一致が回復されるような喜ばしい新たな経験をもつように呼ばれています。」
 私たちがすべての家庭を尊重し、そこで愛の交わりを深めていく恵みが与えられますように。家庭を通して小さな人々、病気の人、年老いた人たちを大切にし、互いに仕え合い分かち合う責任と、その喜びを生きることができますように祈りながら、この一週間を過ごしてまいりましょう。