2011年3月  2.ラテン・アメリカの若者文化
 今回は、若者の文化に焦点をあてて、ラテン・アメリカの事情を紹介します。
 「もうけ主義」は、子どもたち、若者そして大人たちを欲望に駆り立てます。欲望は、即効性はあるが長続きしないような製品を作り出します。人々は欲望を満足させることこそ自分たちの幸福のために必要だと考えるようになり、「今ここで」と言うことだけが重視されるのです。そのため幸せは、経済的に豊かになり、快楽が満たされることだと考えてしまうのです。
 若者は、消費文化の影響を受けながら、自分たちの個人的な望みを満たしていきます。彼らは現実的でナルシズム的な個人主義の流れの中で育ち、自分たちの想像上の自由と、想像上の平等の世界を作り出します。彼らにとって過去は、社会、政治、経済的に疎外されており、未来は不確かなものでしかないので、現在だけが肯定できるものだからです。
 そこで彼らは人生が見せ物であるかのように、自らの肉体を自分の存在の重要なポイントだと思っています。感性の虜になり、価値観や宗教行事に関わりなく育つ人々が殆どです。
 新しい若者たちがこの文化の変化の流れの中で現われてきました。彼らは新しいライフスタイル、考え方、感じ方、関わり方を持っています。彼らが新文化を担っているのです。
 この新しい文化の良い点もあります。人間の基本的人権、個人の良心や経験、そして人生や超越の意味を探し求めることです。既存のイデオロギーでは人生の意味を深く探求することが出来なくなりました。しかし、人生の弱さや単純さの中に大きな価値を見いだすことが出来ることが分かってきました。人間を大切にすることによって、新たな地平線が開かれ、そこではキリスト教の伝統が新たな価値を見いだします。貧しき者として馬小屋で人となられたみ言葉であるキリストの伝統を認めるとき、特に人生の意味を理解します。
 自分自身の人生を形づくり、存在理由を探し求めていると、他者とともにいて、生き生きと経験を分かち合う望みを持つようになります。これは個人の自由の良い面です。そして、自分の信念や選択をしっかり見つめる必要があることも示しています。