2011年7月  4.日本の殉教者のために
 2008年11月24日、長崎市で日本の188殉教者が列福されたことは、記憶に新しいことと思います。188人の殉教による信仰の証しは、1609年から1639年にかけて、長崎、熊本、小倉、広島、京都、江戸、米沢といった日本の各地域で行われました。
 今回、列福された殉教者たちには、特徴がありました。司祭や修道者たちは数人で、ほとんどが信徒であったということです。しかも、信徒は多様で、家族、夫婦、母子、子ども等、様々でした。サビエル以来の信仰は、禁教令の後でも、潜伏して信徒の信仰を支え続けた司祭たちを通して、そして、信徒たち自身の証しによって、日本の様々な地域に根を下ろしていきました。
 その後、1865年の長崎大浦天主堂での信徒発見で世界を驚かせたように、250年以上もの間、キリシタン自身による信仰の特別な継承を通して、密かに信仰が人から人へと受け継がれていきました。この稀有な出来事は、神への信仰、希望、愛を生き抜いた殉教者たちの『証し』の上に、築かれたものでしょう。
 いまだ列福されていはいない無名の人々も含めて、殉教者たちは、その後継者である私たちへの篤き思いで満ちていることでしょう。殉教者たちを通して、神に祈りたいと思います。一人ひとりに与えられている心の望みに忠実であることを。