2011年9月  5.家を失うということ
 地震で倒壊して、津波に流されて、あるいは、台風による土砂崩れで埋まってしまって、それまで住んでいた家を失った方々が、いまの私たちの日本には、たくさんおられます。テロで爆破され、内戦で火災にあって、あるいは、戦禍から逃れて、それまで住んでいた家を失った方々も、世界中にたくさんおられます。家を失うことは、家具、寝具、着物、電化製品などの生活必需品ばかりか、思い出の品々も、また多くの場合仕事も失ってしまいます。時には、愛する人との悲しい別れも伴います。着の身着のままで、避難所、難民キャンプなどに、難を逃れて身を寄せている方々の心は、どんなにか苦しいことか、想像を超えた厳しさの中にあるのでしょう。
 こうした中で、希望の灯りは、どこから射してくるのでしょう。このような方々の苦しさ、悲しさに心を重ねてともに悲しみ、そして祈り、自分が何らかの支えとなることができるように働く、慈しみあふれる見ず知らずの人の存在ではないでしょうか。
 被災された方々の生活を整え、そして、心の苦しみを共感し、希望へとつなげていくべく、私たち一人ひとりに与えられた役割を見出し、実践してまいりましょう。その第一歩は、祈ることから始まります。この25日の「世界難民移住移動者の日」を迎えて、家を失った人の思いに私たちの心を重ねて、日々をささげてまいりましょう。