2011年10月  2.諸宗教対話の促進
 アンコール・ワット寺院は、カンボジアの旗に描かれているほど、この国を表現しています。アンコール・ワットは、10世紀頃、ヒンズー教の寺院として作り始められました。時間が経つに連れて、国民の宗教が仏教に変わって来たので、仏教寺院として祀られるようになりました。
 今年8月にカンボジアを訪れたとき、私たちは目立たないように、また邪魔をしないように、アンコール・ワットの庭の隅っこで野外ミサをしました。ちょうど、イスラムのラマダンが始まったばかりでした。その時一瞬、私の心の中で、宗教と宗教との間の隔たりがなくなり、全人類の創り主であり、父である神を礼拝しました。異なる宗教をもっている兄弟姉妹と心を合わせて沈黙の中で無限の神を礼拝し、世界の平和と一致のために祈りました。
 宗教は時々、戦争や人々の心の隔たりの元となります。宇宙飛行士が月から地球を見て「国と国との間に国境はない」と言ったように、神もすべての人々を自分の子どもとしてご覧になっており、皆が戦争で殺し合うことなど、望んでおられるはずがありません。愛と協力の心で生きるように望んでおられると強く感じました。あのヒンズー教と仏教、ラマダンのイスラムとキリスト的なミサは、今、私の心の中に強く刻まれて残っています。
 現代は、無神論がはびこっています。このような時こそ私たちは、神を違った角度から見て、神を信じ、礼拝しなければならないでしょう。神を愛するすべての人々が、互いに愛を引っ張って批判し合う代わりに、心を合わせて、創造主を賛美するようになることを希望します。広がっていく無心論の津波に対して、神を信じる私たち皆で心を合わせて祈りましょう。