2011年11月  1.アフリカの人々に思いを寄せて
 この地上に存在する全てのものには、もともと持ち主の名前が書かれていません。すべての作物や資源や大地には、本来所有者の名札がありません。そのことは、これら神からのすべての賜物は、誰かが占有するために神から与えられているのではなく、互いに分かち合い与え合う共有のために、神から賜っていることを顕しているのだと思います。作物や資源や大地を占有することによって、憎しみや争い、贅沢に富む者の傍らで飢餓や貧困が生じます。互いに分かち合い与え合う共有によって、和解と平和、喜びが生み出されます。そして全ての賜物は、和解と平和、いのちの喜びのための賜物なのです。
 アフリカの地は、長い植民地支配を受け、多くの資源が持ち去られました。そして制度上の植民地支配が終わりを告げた今日でもなお、その価値観をひきずっているさまざまな資本によって公平性の欠いた搾取がなされています。
 アフリカの人々はそのような状況の中で貧しさと争いの苦しみの中に置かれています。第二回アフリカ特別シノドスで宣言しているように、進むべき道は「相互の尊重」です。キリストの示された互いに対する愛を歩みの根本的な土台とし、互いのいのちを尊重し、自己と他者の生活の向上を同じように望み、分かち合い与え合うことによって、初めてこの暗闇から一歩を踏み出していくことができます。
 私たちがキリストの愛に倣っていく聖霊の促しに従い、自己と自国のエゴを超え、アフリカに生きる人々の苦しみに共感しながら、光に向かって一歩を踏み出していくことができるよう、恵みを乞い願いたいと思います。