2012年1月  2.絆
 教皇は新年の始めに、自然災害に遭われた人々のために祈るよう、私たちを招いています。歴史を振り返ってみると、昔からどの時代でも、自然の災いはたびたび起こっていました。しかし、今世紀に入ってから、アジア、中近東、ヨーロッパ、南アメリカなどに、たくさんの災いがありました。主に、中国、パキスタン、日本、インドネシア、イタリア、ペルー、チリ等です。昨年の12月だけでも多くの大災害がありました。パキスタンとケニアには洪水、メキシコには大地震、フィリピンには暴風と洪水等・・・。
 このような災害から生じてくるのは、人間の大きな痛みと苦しみです。死んでいく人と、残される人の苦しみ、親しい人や大事な家、大事な持ち物を失う人々。
 このような災害に遭う人は、たびたび神に向かって「なぜこのような災いが起こるのですか?」と聞きたくなるでしょう。しかし、神に向かって答えを要求するばかりではなく、神はこの出来事から何をもたらしてくださるのかを、自分で吟味してみてはどうでしょうか。そうすることによって、神の方法がだんだんと理解できるようになってきますし、必ずそこから、神がよいものを与えてくださることに気づくでしょう。
 2011年を表す漢字に「絆」が選ばれました。この「絆」は3月11日から、東日本大震災の被災者に対して、日本各地の人々、また世界各国の人々が示してくれた態度を表す言葉です。この言葉は、つながり、密接な結びつき、連帯感、仲間意識というような響きを感じさせます。3月11日からたびたび、日本人のつながり、団結力、世界の人との連帯感を強く感じることができました。
 神はこの経験を通して、私たちに絆の大切さ、つながりと連帯意識の大切さに気づくよう、招いているのではないかと感じます。