2012年2月  1.宗教は世界平和の基
 人間の歴史の中で、宗教はたびたび戦争の元凶となりました。世界平和を実現するためには、宗教の間に平和がなければなりません。宗教の間に平和があるためには、異なった宗教の間に会話が必要です。これを促進するために、20年前に教皇ヨハネ・パウロ2世は、アシジに28の異なった宗教の責任者を集め、会話をして平和のために祈りました。昨年(2011年10月27日)、同じ場所で同じ目的のためにベネディクト16世は、176の違った宗教の責任者を集め会話し、平和を求めて祈りました。
 多くの人々の中には、宗教と聞くとアレルギーを起こす人がいます。過去には宗教の違いが原因で戦争が起きましたし、また、日本などにおいては、宗教の違いが家庭内に不安や誤解をもたらす元にもなりました。しかし、これからは、あらゆる宗教が過去の間違いを告白し、赦しを求め、逆に平和の土台になるように、心から切望します。宗教は、今、世俗化された社会と倫理を失った経済に精神的な光を与えるはずです。
 教皇ヨハネ23世以来、歴代の教皇たちはなんらかの形で、すべての宗教は世界平和を実現するために貢献すべきだと訴えてきました。数十年前からすべてのキリスト者(カトリック、聖公会、正教会、プロテスタントなど)は、毎年1月18日から25日までキリスト教一致祈祷週間を設け、私たちの一致と世界平和のために祈ります。
 ヨハネ・パウロ2世は、ある時、アブラハムの故郷であるウルに行きたいと思いました。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教はアブラハムを親として認めています。皆が自分の親の故郷ウルで話し合い、祈ることができるように計画しました。しかし、安全が確保されないために行くことができませんでした。そのことがきっかけで、モーセのシナイ山に行きました。シナイは、すべてのキリスト者とユダヤ教の故郷であり、二つの宗教が理解し合い、平和のために一緒に祈れるように求めました。
 毎朝の奉献とともに、全ての宗教が、互いに話し合い、理解し合い、世界の平和のために貢献することができるように祈りましょう。