2012年3月  3.震災から一年
 3月11日が巡ってきます。多くの人のいのちが犠牲となった未曾有の災害から一年、家が流されて住まいを失った人、原発の事故によってわが家を離れなければならなくなった人など、いまだに困難な中で生活している人びとが、懸命に生きています。この一週間は、「きょうをささげる」の教皇の意向や日本教会の意向を心に留めながらも、東日本大震災と原発事故の被災者のために、心を一つにして祈りをささげましょう。
 1月17日は阪神淡路大震災が起きた日です。その日の出来事が報道されると、全国各地から、数えきれない人びとが、救助・救援のため、そして復興・新生のために被災地にボランティアとして出向きました。ほんの数日手伝った人も、また年単位で休暇をとって長期に被災地に滞在した人も、かかわり方はさまざまでしたが、自分ができる精一杯の奉仕を、被災者のためにささげました。また現地に赴かなくても、自分のところで自分ができることをささげた方々も、のべ数十万人に上ると言われています。
 その年をボランティア元年と呼ぶようになりました。通常の経済活動の枠の中では、救援や復興・新生は不可能なのです。自分ができる小さなことを、被災者のために差し出す、経済的な利益を越えた活動がなければ、人びとは悲しみと苦しみの中に、閉じこめられてしまうのです。その後、数々の自然災害の折りに、たくさんのボランティアが活躍しました。そして、この一年間に、岩手県、宮城県、福島県を訪れたボランティアの数は、全国社会福祉協議会が把握している数字だけでも、のべ100万人になろうとしています。
 いま、ボランティアが不足しています。仮設での生活を支えるためにも、まだまだ、たくさんのボランティアの力が必要なのです。
 ボランティアを支えるボランティアもあります。金銭的に支援するだけでなく、励ましたり、報告を聴いて労をねぎらったり、方法はたくさんあります。
 震災から一年を迎える今週、犠牲になった方々が天の国で永遠の安らぎを得ることができるようにと祈り、被災して困難な生活を余儀なくされている方々に、自分の小さなささげものを使っていただくことができるように心を配りながら、過ごしてまいりましょう。