2012年4月  1.さくらに希望を託して
 日本で四月といえば、「さくら」です。日本の象徴としての花であり、季語にもなり、すべての始まりを祝し、希望を意識させる花でもあります。世のサラリーマンにとって、この季節はまた花見酒のシーズンでもあります。日本中が「さくら」の木の下で楽しみ浮かれ、喜びを体全体で現すときです。この季節ばかりは老若男女、皆肩寄せあって元気よく、明るい明日の夢を語る季節です。今年もそんな和やかな姿を拝見できるのを期待します。
 さらに幸いなるかな「さくら」の季節、日本では毎年、主の復活の日を迎えます。キリストの受難から始まり、キリストの死、そして、キリストのご復活を体験させて戴く四旬節が、さくらとともに希望に変わる季節なのです。
 見向きもされない時を過ごし、さらに厳しい冬の試練に耐えながら、「さくら」の木は、何も言わずに「じっと」春を待ち続けます。厳しい冬が終わろうとする頃、ほとんど誰からも気づかれることなく、確実に“花の芽”をつけ春を待ちます。そして春の訪れと共に「さくら」の木満面に花を咲かせ、感動と喜びを人々に贈るのです。
 この世のすべての被造物は皆、生きている、一生懸命それぞれ置かれた場で生かされています。キリストは、今年も「さくら」を通して、あなたに呼びかけています。その声に気づいていますか。この季節を、教皇と日本教会の意向に心を重ねて祈りながら、希望のうちに過ごしてまいりましょう。