2012年6月  3.ヨーロッパのキリスト者
 ヨーロッパのキリスト教はペトロとパウロの殉教の頃、ほぼ2000年前に誕生しました。そのときから迫害や殉教など困難な長い期間が始まりました。その後、光と暗闇の歴史が続きます。そしてキリスト教はヨーロッパに根を下ろし、それぞれの国の誕生に大きな影響を及ぼしました。
 時が経って、多くの人びとが故郷を離れ、遠い国でキリストを宣べ伝える熱意に駆り立てられて、ヨーロッパの外にキリスト教を広めました。16世紀になるとカトリック教会から分かれて、聖公会やルーテル教会など他のキリスト教の教会が生まれました。
 現在、ヨーロッパではキリスト教は危機の時代を経験しています。たくさんのヨーロッパ人は聖書を読み、それによって養われています。しかし、それでも多くの人びとはキリスト教のルーツを見失っています。人の霊的な渇きを示すさまざまなしるしが見られますが、多くの国ではたくさんの教会は空っぽになっています。個人的には多くのキリスト者が教会にある程度コミットしてはいるのですが、福音宣教に対して十分に力を入れていません。名だけのキリスト者になってしまっているのです。
 今のヨーロッパのキリスト者は、長い歴史の中で非常に特別な時期に置かれています。キリスト教は彼らが過去から受け継ぐものであって、過去の虜になるためではありません。キリスト教は保持すべき遺産ではなく、より豊かに生きるための神からいただく恵みです。それによって今の世界のニーズ、期待、疑問に対して答えることができます。
 開発と技術進歩が新しい問題や道徳的な質問をもたらした世界に、どのように福音を宣べ伝えるべきでしょうか。多様な起源の人々、特に異なる宗教的伝統に育った人々が毎日交差する世界に福音を宣言する方法は何でしょうか?
 深い混乱と複雑な状況に置かれている今のヨーロッパで、キリスト者がイエス・キリストから受けた賜物の豊かさを再発見し、自ら受け取ったものを他の人に分かち合うことができますように祈りましょう。