2012年11月  2.司祭に負けるな
 もう50年も前のことです。有名な音楽家であり、「典礼聖歌」を数多く作曲した高田三郎氏は、シスターたちの聖歌隊の練習を指揮していました。たまたま一人の司祭が大きな声で一緒に歌っていました。「邪魔だから、その神父に注意して欲しい」とシスターたちが望んでいたようですが、驚いたことに、高田氏は大きな声でシスターたちに叫んだのでした。「シスターたちよ、司祭に負けるな!」と。
 宣教師として日本に派遣された司祭たちは、長い間日本で暮らし、多くの信徒と出会って、彼らを愛するようになりました。「祈ることを教えてください」と多くの日本人に頼まれました。「歌を教えてください」とも言われました。宣教師として嬉しいことです。そして、「神父様のために祈ります」とも言ってくださるのです。なおさら嬉しいことです。
 司祭のために祈る人は有り難い。もしその司祭が聖人のようだとしたら、その信徒も熱心な信者になるでしょうし、もし司祭が中途半端の信仰なら、その信者も大した者にならないでしょう。
 聖人がいるから聖人は育ちます。聖ペトロ・クラヴェルがあるのは聖アルフォンソがいたからですし、聖トマス・アクィナスがあったのも、聖アルベルトがいたからです。祈りがあれば聖人は育ちます。
 社会に対して影響力のある司祭が欲しいです。聖ヨハネ・マリア・ヴィアンネのような聖なる司祭。このよう司祭は信徒の祈りの結果です。司祭に負けないで聖なる司祭のために、今月も祈りましょう。「主よ、聖なる司祭を与えてください」と。