2012年12月  1.移住・移動者
 戦乱や天災、人災などのため、住みなれた地を離れ、家、財産、土地を失い、さらに家族がばらばらになって、帰国、帰宅の可能性も分からず、隣国や、見知らぬ国や、地方に、着の身着のまま移住せざるを得ない人々が、現に多数あるということは、非常に悲しいことです。ましてや、言語も、文化も違う地域で、不慣れな、不便な生活を強いられていることを耳にする時、大きく心が痛みます。しかも、移住・移動先では邪魔者扱いされる人々も大勢いるのです。
 日本でも、海洋に面してのどかで恵まれた東日本一帯が、思いがけない大災害を受けてから二年目を迎えようとしています。大地震、大津波、原発事故に伴う放射能被曝(ひばく)と、平和に暮らしていた方々が、一瞬にして家、財産、職業、先祖伝来の畑、港などを失うことになりました。急いで、復旧、復興へと取りかかっていますが、その動きもままならず、仮設住宅や、親せきなどのもとへ、移住し、未だに元の生活に戻れないでいる方も大変多いとのことです。特に、放射線量が高い地帯は、安心して戻るには、何年も、何十年もかかると言われていて、さらに胸が痛みます。
 2000年前に、ヨセフとマリアが、お生まれになったばかりの幼きイエスを抱いて、住みなれたナザレを離れ、見知らぬ国エジプトへと期限も知らされずに逃避行され、難民生活を送られた御苦しみと重なります。この苦しみをよく理解しておられるイエス、そしてマリアとヨセフの取次ぎによって、今、移住移動生活を強いられている方々が、孤独と、不安から解放されますように。そして、一人ひとりに力と助けが与えられますように。聖霊が、彼らの生活を力づけ、必要な助けをお与えくださいますように、心を合わせて祈りをささげてまいりましょう。