2013年3月  3.福音の使者である聖職者
 全世界に目を向けること。――主イエス・キリストは弟子たちに望みを託しました。神のいつくしみを、あらゆる場所のあらゆる人々に伝えていくことこそが弟子たちの役割となりました。まさに、初代教会の時代に、イエスの弟子たちは「福音の使者」として派遣され、使徒と呼ばれるようになったのです。この尊い務めは今日にいたるまで引き継がれています。使徒たちの役割を絶え間なく保つために、司教や司祭や助祭が召し出されているからです。
 「聖職者」と呼ばれる司教や司祭や助祭は、自らそのものが尊いわけではなく、むしろ「福音の使者」であるからこそ存在意義を有しているのです。つまり、神のいつくしみをあらゆる相手に伝える尊い役割を担っていることに誇りを抱いて生きていくからこそ、人々から尊敬を受けます。ですから、聖職者と呼ばれる役務者は、常に、神のいつくしみを伝えることに専念しないといけないわけです。
 自分の都合よりも、神のいつくしみを相手におよぼすことだけを優先して生きる潔さこそが、聖職者の人生を輝かせ、数多くの人々の心のゆくえの灯台となります。そして、人々もまた同様の生き方を真似ていけます。
 司教・司祭・助祭に共通している要素は「相手に奉仕する」あるいは「相手に仕える」という一途な姿勢です。聖職者が奉仕する相手とは、神とあらゆる隣人たちです。神が望むことを実行に移し、神の子どもたちとしての隣人をていねいにもてなすことが聖職者の第一の務めです。「神のいつくしみを伝える」という福音の使者としての役割は、実に、相手に奉仕する(仕える)という具体的なふるまいによって果たされていくのです。それゆえに、理屈よりも、まず相手に手を差し伸べて日常的な手助けをすることが重要です。