2013年3月 4.連帯 |
新教皇フランシスコ1世が誕生しました。新しい教皇を頭として、この信仰年を歩む私たちカトリック教会に、神の恵みとあわれみが豊かに注がれますように、お祈りいたしましょう。 日本の教会が掲げた意向である「社会的孤立の解消」について深め、特に大震災から2年を経過して、今なお困難の中にいる方々の心に、自分自身の心を重ねて祈りをささげましょう。 あらゆる人間が協力してこそ、この世界は動いていきます。なぜならば、物資の流通や個々人の仕事の役割分担による共同体の活性化が人間社会を円滑に運営させる決め手となっているからです。つまり、人間社会においては人間同士の「連帯」が重要です。おたがいに補い合ってこそ、全体が動くのです。その際に、各人は同じ目的を共有しながらも、それぞれの相手の異なった働き方を認め合って調和していくことが欠かせません。 しかし、単なる人間同士の連帯だけでは感情の行き違いによる仲たがいが起きる危険性が、いつでもつきまといます。何よりも、相手の心の奥底で働く神の尊い愛情の力に目を向ける必要があります。相手の表面的な性質ばかりを見てしまうと、幻滅をいだかざるを得ません。しかし、相手の心の底に宿っている神の愛に気づくときに、その相手もまた神から受け入れられているかけがえのない子どもであり、その相手と自分とが兄弟姉妹であることがわかるようになります。真の連帯には必ず、尊いものへの謙虚さと愛情が見受けられます。 相手を優先して支えることで、人間同士の連帯が深まります。相手を優先するという態度は、神の愛のわざに由来します。神は創造のはじめから、自分と対等に対話する相手を呼び覚まして生きる者としたのです。神による人間の創造とは、相手を優先して支えようとする熱烈な愛情表現の発露にほかならないのです。神の期待に応える人間もまた、神を優先して自分を律します。おたがいに相手を大切に意識して、自分の生き方を高めていくとき、真の連帯が成立します。その際、私たちが高齢化して、たとえ身体が思うように動かなくなっても、心のなかで相手のしあわせを願って祈りつづければ連帯は成り立つのです。 |