2013年10月  1.祈りを込めた挨拶
 10月の一般の意向は、「絶望のうちにいる人々」のためです。今、日本では、自ら自分のいのちを絶ちたいと思うほど打ちひしがれている人が、非常に多い現実があります。無表情で何を考えているか外から解らないのです。絶望に打ちひしがれている人々に対して私たちができることは、笑顔で挨拶し、キリストの愛を祝福で伝えることでしょう。「キリストの平和が、あなたの上にありますように」と祈り、笑顔で「こんにちは」と挨拶することは、簡単ではありません。しかし、むっつりしている人の顔も、挨拶でほころびます。
 「こんにちは」と声をかけること自体、勇気がいることですから、挨拶を受けた相手も喜ぶのでしょう。
 戦争が終わって68年になります。あの頃、日本のカトリック教会の青年たちが、力強く取り組んでいたのが聖ヴィンセンシオ・ア・パウロ会という福祉活動でした。永井隆氏が長崎大学医学部に魅力を感じたのは、キリシタン時代の医師、イエズス会司祭アルメイダの影響を受け継いで、福祉活動が盛んだった伝統の中で、それを学び福祉医療に専念したいと思っていたからでした。永井隆氏が、医師としても原爆医療に専念できたのは、洗礼の後にすぐに聖ヴィンセンシオ・ア・パウロ会の会員として活動したからでした。そして、被爆して絶望のうちに病床で過ごす一人ひとりに、声を出して挨拶をして励ましたことでしょう。
 あなたが「今日一日、ご自分の十字架を、勇気をもって担うことができますように」と心の中で励ましながら、出会う一人ひとりに「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」と、声を出して挨拶をするように心がけて、この一週間を過ごしてまいりましょう。