2013年12月  1.子どもの明るい未来を祈る
 カメルーンの首都であるヤウンデに「希望の家」と言われるストリート・チルドレンのセンターがあります。ストリート・チルドレンは、両親の家から逃げたり、追い出されたりして家がなく路上に生活する子どもたちのことです。「希望の家」の目的は、親と子どもの間を仲介し、子どもたちが家に帰れるようにすることです。
 この家には、3つの建物があります。第1の建物は、毎日午前10時から午後5時まで常時開いていて、路上で生活する子どもたちが、食べ物を必要とする時、洗濯をしたい時、プールで泳ぎたい時、寝たい時、そして友達が欲しい時に、いつでも誰でも、このセンターに来ることができます。センターのスタッフは、その子どもたちの友となって、アドバイスを与えています。このセンターには設立以来35年間で、延べ187,184人の子どもが訪れました。
 路上の生活をやめ、新たに社会や家庭に戻りたい子どもたちは、第2の建物で寄宿生活をしながら、定期的に親に会ったり、学校に通ったり、運動をしたり、音楽、朗読、劇などをしながら時間をかけて家庭と学校に戻ります。これこそが、このセンターの目的です。それができるまで、ある子どもたちは数カ月、また別の子どもたちは数年間かかります。もちろん、その中でも、また路上の生活に戻ってしまう子どももいます。
 一方、そのような生活から抜け出したいと思っていても、どうしても家庭に受け入れてもらえない子どもたちもいます。その子どもたちは、第3の建物で寄宿生活をしながら、職業を身につけるために、教育と訓練を受けます。農業や、車・オートバイ・テレビ・ラジオなどの修繕を学んだり、また理容の免許をとったりする訓練をします。このようにして自立し、社会人としての生活を身に着け、実社会に戻っていきます。
 また、センターは、警察とよく連絡を取り合い、協力しています。牢に入っている12歳から19歳の子どもたちは、定期的にこの「希望の家」に来て、親に面会し、牢を出る時のための準備を徐々にしていきます。センターはその場としても提供されています。
 現在の日本には、ストリート・チルドレンはほとんどいません。しかし、世界の大きな町の郊外には、親を捨てて、あるいは親に捨てられてストリート・チルドレンとなる子どもたちがたくさんいます。将来を担うこの子どもたちが、親元に、そして学校に戻れるようにと祈ってまいりましょう。