2013年12月  3.クリスマス
 ある村の話です。ロバが犬を蹴って怪我をさせ、犬が猫を噛んで血を流させ、その猫はネズミを殺そうと企んでいました。その村の動物は、いつも互いに憎み合い、いじめ合って、不幸でした。その村の周囲には壁があり、その壁は高く、壁の向こう側に何があるか見えませんでした。ある日の夜、不思議なことが起きました。壁の向こう側の上のほうから、それはそれは夢のように美しく輝いて、優しく暖かい光が辺りを包んでいました。これを見た4匹は驚き、初めて話し合いました。「壁の向こう側で何があったのだろう」と。ロバは背伸びして、壁の向こう側を見ようと努めましたが、壁が高すぎて見えませんでした。そこで、犬に声をかけて言いました。「犬クン犬クン、私の上に乗って、壁の向こう側を見てごらん。背中に登って!」 犬は「とんでもない、おれが近寄ると、おまえは蹴っ飛ばすだろっ!」 ロバは「約束するよ。蹴らないから、早く、私の背中に乗って!」。そこで、犬は、ロバの背中に乗り、一生懸命背伸びしました。でも、まだ壁の向こうは見えません。そこで、犬は、猫に声をかけました。「おれの上に乗って、壁の向こうを見てくれ」と。猫は、恐る恐るロバの上にいた犬の背中に立って壁の向こうを見ようとしましたが、まだ見えません。次に、猫は、ネズミに声をかけました。「私の上に乗って壁の向こうを見てちょうだい。」ネズミは、ロバの上、犬の上、猫の上に乗りました。すると、ようやく壁の向こう側が見えました。そして、大きな声で叫びました。「すごい!すごい! かわいい赤ちゃんがいる!! そばに美しく若いお母さんとお父さんが赤ちゃんを見守っているわ。すばらしい! 私たちも壁の向こう側に行きましょう」と。以前、あんなに互いに憎み合い、いじめ合っていた4匹は、心を合わせて、急いで壁の向こう側に行き、手を組んで、美しいお母さんとお父さんと一緒にいる赤ちゃんを拝みました。それは、とても寒い、寒い12月の24日深夜の出来事でした。赤ちゃんのイエスは、憎しみを平和と喜びに変えたのです。

 さて、クリスマスが参ります。今の国際情勢をみると、あちらこちらで戦争、テロ、核問題などの問題を抱えています。私たち一人一人にも、場合によって、家庭、会社、社会において好きでない人、邪魔する人がいるでしょう。しかし、人の嫌な所より、その人の良い所を見出せますように。生まれたイエスは、すべての人の中にいることを意識しましょう。
 「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。」(マタイ25・40)
 世界の平和は、一人一人の心から始まります。来年、列聖されるヨハネ23世が「地上の平和」の中で次のように述べています。「心と行いによって、平和的な人は、平和的な家庭をつくり、平和的な家庭は、平和な社会をつくります。」
 物語のロバ、犬、猫、ネズミのように仲良く、手をつなぎ、平和な世の中を作っていきましょう。