2014年1月  2.真の愛の精神に基づく平和
 教皇フランシスコが2014年「世界平和の日」メッセージで提唱するライフスタイルの変更は、深刻な金融・経済危機に直面している今日の社会を、より人間らしい姿に立ち返らせるためのものです。危機の「原因は、人間が次第に神と隣人から遠ざかっていること、物質的な富の貪欲な追求と、人間関係・共同体関係の希薄化にあります。……次々に起こる経済危機は、経済発展モデルの再考……のよい機会ともなりえます。(「」内はメッセージの引用、以下同様)」
 教皇はまた、「武力によって暴力と死の種をまく人々に呼びかけ」ています。「今日、倒すべき敵としか考えていない人のうちに、兄弟姉妹の顔をあらためて見いだし、武器を捨ててください。……対話とゆるしと和解により他者と話し合ってください。」と語っています。
 「人間社会の状況の中で」、教皇は、「多くの刑務所の非人間的な環境」を告発しています。「受刑者はしばしば非人間的な状態に置かれ、人間の尊厳が侵害され」ているからです。
 「キリスト教の創造観は」、いのちを保護し育てるために労苦を共にする道です。すべての人の益になるように、自然の美しさと、いのちあるものの生態のためのそれぞれの働きを尊重するようにすすめています。自然を私たちが使うことができますが、私たちは責任を持って自然と共に生きるように呼ばれていると述べています。
 「わたしたちは兄弟愛を発見し、愛し、体験し、告げ知らせ、あかししなければなりません。しかし、神が与えてくださる愛だけが、兄弟愛を受け入れ、完全な形で生きることを可能にします。政治と経済に必要なリアリズムを、理想を欠き、人間の超越的次元を無視した技術偏重主義におとしめてはなりません。神への開きを欠くなら、あらゆる人間活動は不毛のものとなり、人格は搾取の対象となります。」と教皇は結んでいます。

 一人ひとりの人間を愛している私たちの神に、いっそう開かれることによってのみ保たれる神の豊かな広がりに基づいて初めて、政治も経済も、兄弟間にこそ存在する愛の真の精神に礎を置いた構造を、保つことができるのでしょう。そして全人類の発展の有効な道具となることができるのです。
 教皇と一致して、世界の平和を祈りながら歩みを進めてまいりましょう。