2014年7月  4.フェアな心を
 ブラジルで開催されたサッカーのワールドカップの決勝戦は、新旧の教皇対決と言われたように、現教皇フランシスコの出身国であるアルゼンチンと前教皇ベネディクト16世の出身国であるドイツが戦うこととなりました。結果はドイツが勝利して、4年に一度のスポーツの祭典が幕を閉じました。
 カトリック国ばかりでなく、世界中がこの大会の行方を見守っていましたが、審判のジャッジ(判定)について、また、選手のファウル(違反行為)について、その映像が、瞬時に世界中に放映されていきました。必ずしもフェア(公正)とは言えないものもあったでしょう。怪我を負わせる行為や暴力的な反則は、その試合を観戦していた多くの子どもたちに、少なからぬ影響を与えたと言わざるを得ません。つまり、うまく審判の目を免れれば、勝つという目的のためにはいかなる手段を使ってもかまわないと思ってしまうかもしれないのです。世界のトップスターは、世界中の子どもたちのあこがれなのですから、よい模範を示す責任があります。
 私たち一人ひとりの小さな行いの一つひとつも、子どもたちに大きな影響を与えていることを自覚していなければなりません。その瞬間に映像が世界中に伝えられるわけではありませんが、子どもたちは大人の振る舞い、特に「正義」にかかわる振る舞いを、よくよく見ているのです。一つひとつの判断と行動が、神の目に「正義」として映るかどうか、幼い純粋な心は、はっきりと捉えているものです。
 教皇がスポーツを今月の意向に掲げたこの機会に、「自分の利益のために、少しの不正ならかまわないだろう」といった誘惑に打ち勝つことの大切さを日々自覚して、この一週間を過ごしてまいりましょう。