2014年8月 3.戦争のはじまり |
日本のカトリック教会は8月6日から15日までを「平和旬間」と定めて、祈りのリレーや平和を願うミサなどでともに祈りをささげ、また、講演会や研修会などを通して、平和について学んでいます。 今年は第一次世界大戦の開戦から100年目となります。日本はこの大戦に参戦しましたが、大きな犠牲を払うことなく、また戦場にならずに済んだので、それほど大きな関心を持たれていません。しかし、二つの勢力に分かれて戦い、戦死者1600万人戦傷者2000万人と常に大きな犠牲を払うことになったヨーロッパでは、休戦や終戦の記念日を国民の休日に定めるなど、いまだに高い関心を示し、平和を願うための一つのきっかけとなっています。 開戦のきっかけは、サラエボ事件です。オーストリアの皇位継承者が暗殺され、犯人がセルビア人であったので、オーストリアはその懲罰の意味でセルビアに宣戦を布告したのですが、その小さな諍(いさか)いは、瞬く間にヨーロッパ中、しいては世界中を二分する大戦争に発展してしまったのです。この大戦争に突き進んでいった過程は、今まさに解明が進められていることですが、どうやらその原因の多くは、誤った解釈が行われ、誤った情報が伝わり、誤解と誤解とが相互の感情を刺激して、どうにも後に引けない状況に突き進んでしまったといわれています。誰かがどこかで、戦争を抑止しようとすれば、この3600万人の犠牲者は防ぐことができたかもしれないのです。 今日の日本を取り巻くアジア情勢には、小さな諍いの種がたくさん蒔かれています。一触即発の危機は、毎日のように起きています。重要なことは、一人ひとりが「戦争を抑止する心」を抱いて毎日を過ごしているかどうかなのです。 絡み合った糸を解(ほぐ)して、誤解の原因をていねいに探していく心を、日常生活の中で育んでまいりたいものです。第一次世界大戦のような、後に引けない状況生じさせないために、この日本カトリック平和旬間を、戦争を抑止する強い心を育てることを意識して過ごしてまいりましょう。 |