2014年10月  5.シノドス臨時総会の結果を踏まえて
 10月5日から19日までの日程で開催された「世界代表司教会議(シノドス)第3回臨時総会」のテーマは、「福音宣教の観点から見た家庭の司牧的課題」でした。最終報告書の発表とその翻訳に先立って、13日に発表された中間報告では、その第3部の「司牧的展望」で、家庭に福音を告げ知らせるにあたってのさまざまな課題を提示しています。結婚準備中の二人を導くこと、結婚直後の夫婦に同伴すること、秘跡を受けない法律上のみの婚姻や同棲の肯定的側面、傷ついている家庭(別居夫婦、再婚していない離婚者、再婚した離婚者)をケアすること、同性愛の人々を受け止めること、いのちの伝達と出生率低下の課題、などなどでした。
 「世界宣教の日」を迎えた今月に、シノドスで福音宣教の視点で家庭の課題が審議されたことは、大きな意味を持っています。特に、カトリック人口が0.4%に過ぎない日本では、家庭の中で信徒がただ一人だったり、夫婦のどちらかだけが信徒だったりすることは、きわめて普通の形態です。ですから、福音を宣べ伝える対象となる人々は、身近にたくさんいるわけです。
 近くにいるからこそ、どのように福音を伝えていくのか、実に難しい課題です。キリストが新しい生き方を示したことに感動し、ユダヤ教の世界にイエスの福音を伝えようとした聖パウロは、身近な人に言葉で福音を伝えると同時に、イエスのように生き方で福音の精神を示していたことが知られています。神は私たち一人ひとりを大切にしてくださっているのですから、私たちもそれに倣って、そのとき出会う一人ひとりを大切にすれば、そこに真の平和が訪れるという、よい知らせ『福音』を家庭の中で示していきたいものです。それには、聖パウロのように、生き方で示すことが何よりも大切なのではないでしょうか。
 家庭に福音が宣べ伝えられるように、キリストを信じる一人ひとりが、生き方によってそれを証ししていくことができるようにと、祈りをささげてまいりましょう。