2014年11月  2.アジアの教会
 11月9日の主日では、「ラテラン教会の献堂」を祝います。ラテラン教会は、紀元4世紀にコンスタンティヌス皇帝によって建てられた、ローマにある教会のことです。14世紀まで、教皇であるローマの司教の司教座聖堂(カテドラル)として用いられ、すべての教会の母とされてきました。全世界の教会がラテラン教会の献堂を祝うこの日は、「旅する神の民」のために祈る日です。そして、カトリック教会の一致のかなめであるローマの教会とのつながりを思い起こす日でもあります。
 さて、日本の教会の意向では、「アジアの教会」が取り上げられています。キリスト教は、発祥の地はアジアですが、ローマの国教となってからはまずヨーロッパに拡がり、西洋の文化として発展してきました。中央アジアやインドまでキリストの福音がもたらされましたが、さまざまな歴史が語っているように、大航海時代の後の宣教師による伝道によって、多くの国々にキリスト教が伝えられたのです。多くの宣教師の方々の強い熱意と努力のたまものでした。
 ちなみに日本への伝来は、16世紀に聖フランシスコ・ザビエルによってもたらされ、300年以上の禁教の時代を経て、今日に至っています。ヨーロッパが植民地として支配した国の中には、今でも人口の九割を超える人がカトリックの信仰をもつ、フィリピンや東チモールがありますが、他の宗教を信じる国民が多い、中国、韓国、インド、ベトナム、ミャンマーなど、そして日本でも、キリストの教会は根を下ろしてきました。
 アジアの国々は、それぞれ民族、文化、宗教、地理的条件などがさまざまですから、そのなかで、キリストの教会が認識され、受け入れられるようになることは多くの努力と長い時間がかかることでしょう。そして、ヨーロッパ文化の一部としてのキリスト教の域を脱して、福音の本質を探し求めて、そして、その国や地域の文化を認め、そこにふさわしいかたちでの福音を開花させることができるように、教会が成長していくことが求められます。
 その模索の途上にあるアジアの教会に思いを馳せ、また、自分自身もアジアにふさわしい福音(よき訪れ)をもたらすものとなれますように、祈ってまいりましょう。