2015年3月  2.防災の備え
 今週、3月11日を迎えます。私たちの身の回りは、あの未曾有の災害の後で、防災に心がけるように整えられてきたでしょうか。私自身の生活で、防災の意識がどのように浸透したでしょうか。
 「備えあれば憂いなし」の故事にあるように、自然災害に対しては最小限の被害で食い止めることができるように、日ごろの備えが一番大切なのでしょう。今年は、1.17の阪神淡路大震災から20年目を迎えました。1995年の震災の後では、一時防災意識がとても高まりました。家具転倒防止ための器具や、ライフラインが止まっても2日間は自足できる非常食料の備蓄などなど、備えを万全にした家庭もたくさんありました。
 ところが、非常食の賞味期限が切れていることに気づかないまま備蓄をしていたり、非常時持ち出しのために用意した品を生活の中で使用して無くなってしまっていたりと、「のど元過ぎれば熱さ忘れる」のごとく、ほんのわずかずつですが、防災意識は毎日少しずつ薄れてきます。
 3.11に、生命を落とされた多くの方々への鎮魂の祈りをささげること、そして今なお不自由な生活を強いられている被災者の方々が、一日も早く人間らしい生活を取り戻すことができるようにと祈りをささげることはもちろんですが、自分自身が被災した時に、まずは生命を落とすことなく、できれば怪我などすることなく、元気な身体を保つことができるようにと祈ることも、忘れてはなりません。
 災害時に、困っている人、苦しんでいる人の手助けをするためには、自分自身が被災地のただ中にいたとしても、元気に動くことができる身体が必要だからです。まずは自分の生命を危険にさらさないようにする。次に、怪我をしないように気をつける。そして、自分の身が元気なことが確認できたらすぐに、一番近いところにいる人の生命に危険がないかどうかを確認して、手助けすることです。日々の祈りの中に、ほんの少しでもこのことを意識できれば、心の備えから始まって物品の備えまで、万全の防災が整うことになるのではないでしょうか。