2015年6月  4.戦後最多の難民
 6月20日は国連が定めた「世界難民の日」です。これに先立ち、国連難民高等弁務官事務所は18日に、2014年の難民の数を発表しました。実に、第二次世界大戦後最多になっています。その数5950万人で、2013年より830万人も増加しました。ここでの数字は、国境を越えて移動した人々と、国内で避難している人々を加えたものです。
 シリアでは国境越えた難民が388万人、国内の避難民は763万人で最も深刻でした。上位10カ国には、国境を越えた難民が、アフガニスタンで259万人、ソマリアで111万人、スーダンで67万人、南スーダンで62万人、コンゴ民主共和国で52万人、ミャンマーで48万人、中央アフリカで41万人、イラクで37万人、そしてエリトリアで36万人と続きます。イスラム過激派の台頭で不安定な中東や北アフリカで難民が増えていることが分かります。ミャンマーの少数民族ロヒンギャが難民化していることも、新しい動きの一つです。
 高等弁務官のグテーレス氏は、「集団で人々が居住地を追われる先例のない時代に入った」と状況について述べて、各国での難民の保護に協力を求めています。ところが、6月の第一週でも述べたように、日本の難民政策は非常に貧弱で、2014年に難民認定した人はわずか11人に過ぎません。5000人の申請に対して11人とは、第8代国連難民高等弁務官(1990-2000年)の緒方貞子氏を輩出した日本が国際社会で果たす役割に対して、厳しい評価がなされていることを裏付けている実態なのでしょう。
 難民を出さないとは、紛争・戦争のない状況です。暴力・武力で、兵力で自分たちの主張を貫こうとする姿勢と、それを暴力・武力で、兵力で押さえつけようとする負の連鎖が、毎年の難民の増加を招いているのです。そしてその背景には、富める者と貧しい者との格差がますます広がっていくといった社会のひずみが横たわっています。
 難民にはどのような苦しみや悲しみがあるのでしょうか。想像の目で、自分も難民の一人になった状況を思い巡らしてみましょう。そして、何よりも、「祈ること」から始めるようにとの神の促しに応えて、この一週間を「難民」のために祈り続けましょう。