2015年7月  1.政治にかかわる責任
 日本の国会は、戦後最長の会期の延長を決めました。その国会では、集団的自衛権の行使を認める法案を、何としても可決したい現政権の思惑があります。その、集団的自衛権については、合憲か違憲かの議論がなされ、国会に招聘されて意見陳述した憲法学者が違憲だと表明し、また、もと内閣法制局長官も違憲の立場を表明しています。世論調査でも、この法案に反対の意見が増えて半数を超え、一方で内閣支持率が低くなっています。
 日本の司教団は、昨年6月27日に、日本カトリック正義と平和協議会会長の勝谷太治司教の名前で「安倍晋三内閣の集団的自衛権の行使容認の閣議決定に反対します」という文書を内閣総理大臣に送り、反対の立場を表明しました。そして7月3日には常任司教委員会の名で、「集団的自衛権行使容認の閣議決定についての抗議声明」を発表し、内閣総理大臣宛に送っています。以来、日本のカトリック教会は、一貫して集団的自衛権の行使に反対の立場をとっているのです。
 信徒が政治に関与することは、イエス・キリストの福音に生きる一人ひとりの責任の一つです、『なぜ教会は社会問題にかかわるのか』(日本カトリック司教協議会社会司教委員会編)でも、明確に「かかわる」責任を述べています。さらには、具体的な行動で、意見を表明したり、反対運動をしたりすることも奨めています。
 「きょうをささげる」の7月の教皇の意向は、「政治」です。政治の責任で行き届いた社会政策が実施され、貧しい生活を余儀なくされている人々も、人間らしい生活が確保されるようにと祈るように、私たちを導いています。日本では、その「政治」が、人々の安全を脅かす施策へと舵を切ろうとしている状況を、まずは関心を持ってその内容を把握し、一人ひとりの祈りの中で神の望みを聞き分け、日本の教会として一致して、正義と平和に反する政治に、「ノー」をはっきりと表明できるように、この一週間は政治の動きに関心を持って過ごしてまいりましょう。