2015年8月  3.ボランティアの力
 8月の世界共通の意向として、教皇は「ボランティア」を取り上げています。この語源は英語のwillの語源ともなったラテン語のVolo(ウォロ)で、意思や志願を意味しています。歴史的には宗教団体での騎士団や十字軍における志願兵を指し、「神の意思(voluntas)に従う人」を意味していました。現在でも英語圏では、義勇軍の意味でボランティアが用いられています。
 今日的な意味では、援助活動や社会奉仕活動に無償で自発的に加わって働くことを意味しています。無償制の原則が少しゆるくなって、わずかな報酬を受け取る有償ボランティアも出現しています。ボランティアの働きが日本社会で広く認められた契機は、1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災でした。全国からたくさんのボランティアが集まり、その数は1日平均2万人超、3カ月間で延べ117万人とも言われています。その働きで、行政レベルでは届きにくいきめ細やかなサポートが実現しました。その年を「ボランティア元年」と呼ぶようになり、1月17日が「防災とボランティアの日」と制定されました。以来、災害の救援活動ばかりでなく、様々な分野でボランティア活動が広がり、今や社会の仕組みはボランティアの存在なしに動かないまでになりました。
 自発的な意志でかかわるボランティアは、社会のニーズにすぐに応えることができる柔軟性を特徴の一つとしています。組織化された仕組みの中で働くにしても、あるいは個人、小さなグループで働くにしても、その場の必要に応えて奉仕することができるのでしょう。様々な場面で活動する、無数のボランティアの一人ひとりに感謝の念を抱き、その一人ひとりを神が祝福し守ってくださるように、祈りの一週間を過ごしてまいりましょう。