2015年10月  2.諸宗教と平和
 インドのニューデリーにあるガンジー記念館は、非暴力を貫いたマハトマ・ガンジーが銃弾に倒れた場所にあります。そこでは、彼の生涯の歩みばかりでなく、簡素な生活を心がけていた日々の暮らしぶりも紹介されています。
 その記念館の敷地の一角に、大きな銅鑼(ドラ)がつるされています。そこには、WORLD PEACE GONG (世界平和のドラ)と書かれていて、内側の輪の中には世界の諸宗教のシンボルが刻まれています。キリスト教のシンボルの十字架はもちろん、イスラムを象徴する三日月と星、また、日本の神道のシンボルとしては鳥居が、描かれていました。その外側の輪には、色彩豊かな世界中の国旗が描かれています。宗教、そして国を超えて平和を願うガンジーの思いがひしひしと伝わってきて、訪れた誰もがひとときの祈りをささげています。
 ガンジーは「平和への道はない。平和こそが道なのだ。」との名言を残しています。宗教のるつぼといわれるインドで、そして植民地支配から脱する運動を繰り広げながら、常に平和という道を歩んだ彼の哲学の背景には、常に非暴力がありました。暴力を用いずに、対話を重ねることのほかに、平和はないと確信した偉人の信念です。
 日本の教会は、今月の意向に諸宗教対話を取り上げました。キリスト教の信仰をもつ日本人は、人口の3パーセントにも至りません。平和の道は、他の宗教の信仰に生きる人と歩むほかにありません。一人ひとりが交流と対話に努めて、人類の平和に貢献できるようにと、祈りをささげてまいりましょう。