2015年10月  3.アジアのキリスト教
 アジア諸国において、キリスト教徒は少数派です。中東ではイスラム教徒が大半を占めていますし、南アジアの大国インドの約80%の人はヒンドゥー教徒です。
 東南アジアの状況を概観すると、隣国の中国では、国家公認の教会と非公認の教会を合わせておよそ1億3000万人のキリスト教徒がいると推定され、人口の10%にあたります。韓国では、プロテスタントが20%、カトリックが10%と比較的比率が高いのですが、日本の状況はというと、キリスト教徒は全体でおよそ300万人で、3%に満たない少数派(マイノリティ)です。その中にあってカトリックは更なる少数派で。約0.3%にすぎません。この数値は日本で暮らす聴覚障害者の比率とほぼ同じです。
 人口の多数派をキリスト教徒が占めている国が東南アジアに二つあります。一つはフィリピンで、スペインとアメリカによる植民地支配の影響です。カトリックが80%強、その他のキリスト教徒合わせて90%ほどがキリスト教徒です。もう一つは、若い独立国の東チモールです。こちらもオランダによる植民地支配の影響で、キリスト教徒が99.1%に及び、その大半がカトリックです。しかし、アジア全体の人口に占めるキリスト教徒は、少数派であることが分かります。
 教皇は今月の福音宣教の意向として「アジアにおける宣教」を掲げ、宣教師の精神で福音を伝えていくようにと促しています。キリスト教は、愛とゆるしの宗教です。その地域の伝統的な宗教を尊重しながら、愛とゆるしの福音のメッセージを伝え、生き方のうちにいつくしみの神を証ししている人がたくさんいます。宣教師は、英語でミッショナリーといい、その意味は「使命を生きる人」に由来しています。私たちキリスト者が、一人ひとりいただいている固有の使命を生きて、アジアの地で福音のメッセージを伝えていくことができるように祈りながら、日々を過ごしてまいりましょう。