2015年10月  4.世界宣教の日
 カトリック教会では、10月の最後から二番目の日曜日を「世界宣教の日」と定め、祈りをささげ、まだキリストを知らない人びとに福音を伝えるために、霊的物的援助をはじめ宣教者たちの交流を各国の教会間で推進しています。この日の献金は、各国からローマ教皇庁に集められ、世界中の宣教地に援助金として送られます。
 日本の状況を概観すると、2014年のカトリック教勢は、信徒総数が436,291人で、人口の0.34%にあたることが分かります。プロテスタントの諸教派を含めて、幼稚園からの大学・大学院までの教育機関、また、病院や社会福祉施設などの運営で、キリスト教の関連の諸団体が日本社会で果たしている役割は非常に大きいのですが、信徒数が増えていません。カトリック教会の信徒数はこの10年ほどは横ばいの状況です。ところが、聖職者・修道者・神学生の数は、10年前の2005年には8,491人でしたが、2014年には7,355人と13%ほども減少しています。福音宣教の担い手として、聖職者・修道者に頼ってばかりいるのでなく、信徒もその使命を自覚しなければ、日本社会に福音を伝えていくことができなくなることは、この数字を見れば明らかです。
 福音宣教とは、日本司教団から1984年に発表された「日本の教会の基本方針と優先課題」に記されているように、第一に「私たちカトリック教会の一人ひとりが、宣教者として、まだキリストの食卓を囲んでいない人々に信仰の喜びを伝え、より多くの人を洗礼に導き、彼らとともに救いのみ業の協力者となる」ことであり、第二に「今日の日本の社会や文化の中には、すでに福音的な芽生えもあるが、多くの人々を弱い立場に追いやり、抑圧、差別している現実もある。私たちカトリック教会の全員が、このような『小さな人々』とともに、キリストの力でこの芽生えを育て、全ての人を大切にする社会と文化に変革する福音の担い手になる」ことです。
 日本社会に福音のメッセージを伝えていくために、この一週間を、福音宣教の推進に信徒が自覚を持ってかかわることができるようにと祈りをささげて、過ごしてまいりましょう。