2015年11月  1.いのちの門
 すべての人は、二つのいのちの門を必ず通らなければなりません。母の胎内でいのちが宿った時に無意識のうちにくぐった「生命誕生の門」と、生命活動に終止符が打たれる時にくぐる「死の門」です。私たちの信仰においては、「死の門」をくぐると、永遠のいのちに入ることが約束されています。
 神からいただいたいのちを、神にお返しするときが来ると、この世でのいのちをともに過ごした人びとと別れなければなりません。門をくぐる当人にとっても、また見送る人びとにとっても、愛に満ちた親しい交わりが断たれることになるのですから、悲しみは計り知れない大きなものとなります。涙のうちにこの悲しみを受け止めている人たちにとって、神にいのちをお返しする儀式である葬儀ミサでの奉献文には、大きな慰めとなる言葉が記されています。「信じる者にとって死は滅びではなく、新たないのちへの門であり、地上の生活を終わった後も、天に永遠のすみかが備えられています。(叙唱(1)復活の希望)」の言葉によって、悲しみは希望へと変えられていくのです。
 11月は死者の月です。教区、小教区では追悼のミサ、墓参などの行事が執り行われ、心を合わせて死者のために祈りをささげます。私たちもこの1カ月を、まずはこの世でいのちを共に生き、今は天の国で私たちのために取りなしてくださっている家族・親族、そして友人・知人のために祈り、また、災害や事故などで、私たちの目には不慮の死と受け止められる突然の死によっていのちを神にお返しした人びとにも思いを寄せ、そしてこの世を去ったすべての人びとが新しいいのちのうちに生きていくことができるようにと、祈り願ってまいりましょう。