2015年11月  3.教会の管理と運営
 教会には、聖堂、信徒会館のほかに、司祭館と呼ばれる建物があります。そこには、教会の管理と運営を任された主任司祭やその助け手としての助任司祭が居住しています。教会の管理と運営の仕事を、「司牧」と呼び、英語ではパストラル(pastoral)と言います。
 イエス・キリストが生活した時代と地域は、遊牧民が幕屋(テント)を張って移動しながら羊の世話をしていました。羊飼いが羊の世話をする司牧という言葉は、司祭が教会の管理と運営をしながらそこに集うキリスト者たち(信徒)の世話をすることにも用いられるようになったのです。イエスが弟子や人びとに話されたたとえ話の中にも、羊と羊飼いのことはたびたび出てきますし、群れからはぐれてしまった1匹の羊にも心を配るというたとえ話はとても有名です。そして、イエス自身が「よい牧者」にたとえられます。群れから離れた1匹の子羊を肩にのせたイエスのご絵は、よく知られています。
 教会の管理と運営を委ねられている司祭は、叙階の秘跡によって、1.教えること(教職)、2.祭儀をつかさどること(祭職)、3.司牧すること(牧職)の3つを通して神のために仕えるようになります(教会憲章21参照)。ですから、司祭は司牧だけでなく、ミサ聖祭を司式し、また講座などで人びとにキリストの教え伝える責任も負っています。
 教皇フランシスコは、この教会の管理と運営にあたる司祭に、3つのことを求めていて、そのことが達成されるようにと世界の教会に祈りを呼びかけています。第一に、「深い愛情をもつ」こと、第二に「人びととともに歩む」こと、第三に「明るい希望を示す」ことです。ですから、教会に集う私たち一人ひとりも、司牧者と同じように、「深い愛情をもって人びとともに歩み、明るい希望を示すことができるように」日々の生活を整えて過ごしてまいりましょう。