2015年12月  2.HIVとAIDS(エイズ)
 毎年12月1日は、世界保健機構(WHO)が1988年に定めた「世界エイズデー」です。AIDS(エイズ)とは、後天性免疫不全症候群(こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん、Acquired Immune Deficiency Syndrome)のことで、HIV(Human Immunodeficiency Virus;ヒト免疫不全ウイルス)が免疫細胞に感染し、免疫細胞を破壊して後天的に免疫不全を起こす免疫不全症のことです。免疫がなくなってしまいますので、人間の持つ自然治癒力が奪われ、身体全体が無防備な状態になって、通常は死に直結することのないウイルス、例えばインフルエンザに感染しても、すぐに危険な状況が迫ってくる、恐ろしい病です。
 アフリカのカメルーンのチンパンジーから人に感染したとする説が有力で、そこから世界中に広まっていったと考えられています。1981年にアメリカのロサンゼルスでエイズと正式に認定されたのが初めての例ですが、わずか10年程度で感染者は世界中に100万人にまで広がっていきました。現在全世界での感染者は5千万人に達すると言われていて、その拡大のほとんどがアジア、アフリカ地域の開発途上国です。近年では中国、インド、インドネシアにおいて急速に感染の拡大が生じて社会問題化しています。
 感染のルートは性交渉、血液、母子の三つです。同性愛者の間や、麻薬常習者の注射針の使い回しから、感染が広まったこともあって、エイズに対する誤った知識から、感染者たちが差別や偏見にさらされて、人権が侵害される事態も生じています。
 感染の有無を調べる検査は、日本では全国の保健所で無料で匿名で受けることができます。HIVに感染すると2〜4週間でインフルエンザにかかったような症状が起こると言われていますが、多くの場合、数日〜 10週間程度で症状は軽くなり、長期の無症候性感染期に入るため、感染には気付きにくいのです。
 ウイルスは、他の生物の細胞を利用して、自己を複製させることのできる微小な構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からできています。生命の最小単位である細胞をもたないので、非生物とされることもあります。さらにはウイルスそのものが進化していきますので、新しいウイルスが次々と人間の脅威になっています。鳥インフルエンザも人から人への感染は確認されていませんが、その脅威の一つです。また、エボラ出血熱のような新たな感染症も地域的に猛威を振るうようになっています。
 日本の教会は12月の意向として「HIVの治療に携わる人々」を掲げ、社会の理解と研究者の働きがどちらもHIV感染拡大の防止に必要だと訴えています。私たちも、ここに掲げたAIDSとHIVについての基本的な情報を共有し、感染者に対する援助を惜しみなくささげてまいりたいものです。