2016年1月  1.共通項と相違点
 あけましておめでとうございます。2016年がこの世でいのちをいただいて生きているすべての人に、正義と平和がもたらされる年となりますように、すべての人と心を合わせて祈る一週間といたしましょう。
 正義が推進され平和が実現されることは、すべての人の願いに違いありません。ところが推進の仕方や、実現の方法にいくつもの選択肢があるので、悪は、すべての人の願いであることの共通項よりも、仕方や方法の相違点に目を向けるように仕向けて、その上で自分の仕方や方法が最も優れているという思いを抱かせ、常に正義と平和の実現を妨げようと働きかけています。真の正義の推進と平和の実現のためには、考えの違いをことさら強調することを超えて、共通項を見いだし、寛容な心でその違いを乗り越えて、愛といつくしみのうちに互いを受け入れることのほか道はありません。ところが、悪はいつも「あなたが最も賢い」「あなたの考えは最も優れている」とささやき、進むべき道を「戦い」へと誘導していくのです。寛容な心をもって相手の考えを聞き、その中に自分の考えとの共通項を見いだし、世界中の人々の共通の願いである「正義と平和」の実現に向けてともに歩んでまいりたい、その決意を、年の初めに新たにいたしましょう。
 教皇は、今月の意向の中で、仕方や方法の違いを生む大きな要素として宗教を取り上げ、「信仰を異にする人々の誠実な対話」を呼びかけています。悪は違いを意識する方向で人々を誘惑しますが、神は隠された共通項を探し出すよう、うながしています。共通項に気づくにはまず、相手がいのちをいただいて生きている人間であることを共通項の出発点として、対話を進めることが必要となります。対話を進めるうちに、共通項がいかに多いか気づかされるのです。
 すべての宗教が、正義と平和が実現されるようにと祈りをささげるこの年の始めにあたって、「誠実な対話」のうちに、ともに尊敬し受け入れることができる共通項を見いだしてまいりましょう。