2016年2月  1.分別(ぶんべつ)の手間を惜しむと
 私たちの社会を、3つのRで組み立て直そうとするエコロジーの運動が始まって、もう30年ほどが経過しました。Rの1番目は リデュース(Reduce)で、「減らす」ことです。2番目のRはリユース(Reuse)で、「繰り返し使う・再利用する」ことです。3番目のRはリサイクル(Recycle)で「再資源化する」ことです。
 日本では2000年に成立した循環型社会形成推進基本法にこの3Rの考え方が導入され、今ではどのスーパーマーケットの入口にも資源回収のための箱が設置されるまでにリサイクルの考え方が普及しました。行政が推進する施策も充実してきて、プラスチックや紙の回収が定期的に行われるようになってきました。さらには、経済活動の一環としてリサイクルを事業化する会社もたくさん生まれています。限りある資源を大切に使って、次の世代に美しい地球を遺していこうとする気運が高まっていくことはとても喜ばしいことです。
 リサイクルを推進していく上で重要なことは、回収されるべき資源をきちんと分別することです。例えばガラス瓶の回収の場合、最も地球に優しいリサイクルは、リユース用と再生用とを、つまり、ビール瓶や一升瓶のように、洗浄してまた商品の容器として使うものと、破砕して溶解し、ガラスとして再生産するものとを分別し、さらには破砕するものをガラスの色別に分別する方法なのです。行政の方針で、瓶の色別に回収することを義務づけている自治体もあります。
 分別は手間のかかることですが、リサイクルの最初の段階でしっかりと行うことが、最も効率がよいのです。それは消費者である私たち一人ひとりの毎日の行いにかかっています。細かいところまでしっかりと分別する手間は、なかなか厄介(やっかい)です。例えば、ペットボトルの回収の時には、キャップとラベルは別にすることが要求されます。リサイクルの意識を高めて生活しようとすると、生ゴミ用、不燃物用、紙用、プラスチック用、空き瓶用などなど、ゴミ箱は三つも四つも必要になってきます。しかし、一人ひとりが分別に手間を惜しむと、再資源化の循環はうまくまわりません。
 教皇も昨年発表した回勅「ラウダート・シ」で、このかけがえのない地球に優しい生活を心がけるようにと呼びかけていますし、2月の世界共通の意向でも「被造物への配慮」を呼びかけています。
 リサイクルのために、どのレベルまで何をどのように分別することが求められているかに注意しながらこの一週間を過ごし、それが生活の中で習慣として根付くように努めてまいりましょう。