2016年2月  4.重力波の発見と宇宙の歩み
 今から100年前に、一般相対性理論にもとづいてアルベルト・アインシュタインがその存在を論証した重力波が実在することを突き止めたというニュースが届きました。時空(重力場)の曲率(ゆがみ)の時間変動が波動として光速で伝播するこの現象は、宇宙の始まりを解明するためにたいへん重要な科学的発見だと評価されています。
 私たちが解明しようとしている宇宙の誕生は、およそ138億年前のことです。その宇宙に、太陽系が属する銀河系宇宙がありますが、これは120億年から130億年前には存在していたことが分かっています。いずれにしろ、まさに宇宙的数字です。
 地球の歴史は、45億4000万年前(±5000万年)です。銀河系の恒星である太陽の惑星として誕生しました。そしてこの地球に生命が誕生したのは、約40億年前とされています。ところが、私たち人類の英知を結集しても、他の宇宙空間で生命が誕生したことは確認されていません。ここに天地創造の神がこの地球に生命を宿らせた神秘がうかがえるのです。そしてそれから、長い長い年月を経て、今から450万年前にこの地球に人類が登場します。イエスが神の子としてこの世に遣わされて約2000年ですが、私たちの人類の歩みはその2000倍を超えた年月なのです。
 悠久の時の流れの中で、私たち人類はこの200年ほどの間に、科学技術を発達させて、便利で快適な生活を実現させ、人口も爆発的に増大させてきたのですが、このまま私たちが、この水準を維持した生活を続けていけば、約46億年続いてきた地球が死の惑星と化してしまうことが、明らかになってきました。数億年前の生物の死骸が化学変化を起こしてできた化石燃料である石油を大量に消費すると、空気中のCO2(二酸化炭素)の比率が増し、それが地球温暖化を引き起こしていると考えられています。便利で快適な生活から、不便で暮らしにくい生活に戻さなければ、このかけがえのない地球を、後世に遺すことはできないことが明白なのです。ところが、これを実行するのはたいへんに難しいことも事実です。
 時は今も流れています。その大もとには、138億年前のビッグバンがあります。一人のヒトの命はたとえ100年続いたとしても、ほんの瞬きの瞬間に過ぎないのです。しかし、たとえ一瞬であっても、この地球で人類の一人として命を生きたことは、40億年の生命の連鎖の中に組み込まれた確かな出来事なのです。「重力波」の発見に思いをいたしながら、今どのようにエコロジーにのっとった生活を営んでいけばよいのかを、深めて参りましょう。