2016年9月  2.福音宣教の2本柱
 教皇の意向は、この9月に「福音宣教の使命」を取り上げ、秘跡にあずかり、みことばを黙想して使命の自覚を深めるように勧めています。この「福音宣教」について、日本の教会が掲げている方向付けを再確認しておくことも大切でしょう。もう30年以上も前のことになりますが、1984年に日本の司教団は、「日本の教会の基本方針と優先課題」という歴史的文書を発表しました。この基本方針は、今でも続いている現代の教会の姿勢です。その文書には、「直接宣教の促進」と「社会の福音化」が2本柱となっていることが明記されていますが、より具体的な表現で示した2つの文章で基本方針として表しました。ここに引用します。

1 私たちカトリック教会の一人ひとりが、宣教者として、まだキリストの食卓を囲んでいない人々に信仰の喜びを伝え、より多くの人を洗礼に導き、彼らとともに救いのみ業の協力者となる。

2 今日の日本の文化や社会の中には、すでに福音的な芽生えもあるが、多くの人々を弱い立場に追いやり、抑圧、差別している現実もある。私たちカトリック教会の全員が、このような「小さい人々」とともに、キリストの力でこの芽生えを育て、全ての人を大切にする社会と文化に変革する福音の担い手になる。

 この2つの柱は、すべてのキリスト者に向けられたメッセージです。第二バチカン公会議を経て、この宣教の使命は司祭修道者だけのものではなく、洗礼の恵みをいただいたすべての信徒のものとして捉えられています。
 教皇フランシスコが「福音宣教の使命」を深めるように促しておられる今月、2本柱を再確認して、秘跡にあずかり、黙想して歩みを進めてまいりましょう。