2016年10月  3.福音の喜び
 10月の最後から2番目の日曜日を、カトリック教会は「世界宣教の日」と定めています。
 世界にはまだキリストを知らない人がたくさんいます。日本でも私たちはキリストを知らない人たちに囲まれて生きています。キリストを伝えることである宣教は、神の子ども、キリストの弟子となったわたしたち皆に与えられている使命です。
 「世界宣教の日」は、すべての人に宣教の心を呼び起こさせること、世界の福音化のために、霊的物的援助をはじめ宣教者たちの交流を各国の教会間で推進することを目的としています。この日の献金は、各国からローマ教皇庁に集められ、世界中の宣教地に援助金として送られます。日本の教会は、いまだに海外から多くの援助を受けていますが、経済的に恵まれない国々の宣教活動をさらに支援できるように成長していきたいものです。
 ところで、日本では1987年に「第一回福音宣教推進全国会議」が京都で開催され、「ともに喜びをもって生きよう」という文書が発表されました。そして、その背景にあるのが1984年の司教団文書、「日本の教会の基本方針と優先課題」です。ここには福音宣教についての2つの柱が明確に示されています。1つは、「社会の福音化」で、この日本社会を、人のいのちを最優先にする社会に変えていこうとする柱です。もう一つは、そのような社会を実現するために、キリストの弟子となって生きる仲間を一人でも多く私たちの共同体に招き入れようとする「個別宣教」です。この基本方針は、今でも日本の教会に息づいている大切な心構えです。
 世界宣教の日を迎えるに当たって、人々が福音の喜びのうちに日々を過ごすことができるよう、30年を超えて私たちが大切にしていた2つの柱を思い起こし、日々の祈りをささげてまいりましょう。