2017年3月  5.エアコンの設定温度
 桜前線の北上に伴って、春の風が心地よく肌を通り過ぎていきます。私たちの生活も冬支度を解いて、いのちが活動する季節への対応に追われています。
 各所に設置されたエアコン(空調器具)のスイッチも、暖房からやがて冷房・除湿への切り替えが必要となりますが、この冬の過ごし方をふり返りながら、エアコンの設定温度について改めて考えてみましょう。
 環境省は、冬の暖房器具の設定温度を20℃に設定することを推奨しています。近くのエアコンの温度は何度に設定されていますか。20℃は、「暖かくて心地よい」と感じる温度ではなく、「寒くはない」温度だと捉えてしかるべきでしょう。そして20℃に設定しても「寒い」と感じるようでしたら、温度を上げるのではなく、別の策を講じるべきです。例えば、すきま風が入ってくる場合には目張りをするとか、部屋の中で寒い場所がと暖かい場所がある場合には空気をかき回す(エア・サーキュレータ)とか、「寒くはない」状態を保つ工夫が必要となります。因みに、環境省の推奨する冷房器具の設定温度は28℃です。これも、「涼しくて心地よい」と感じる温度ではなく、「暑くはない」温度です。
 暖房の場合も、冷房の場合も、スイッチを入れてすぐに心地よい温度にならないと、すぐに設定温度を上げたり下げたりしたくなりますが、設定温度によって暖まったり、涼しくなったりする時間が短縮されることは、器具の構造上ありえません。そして、スイッチを入れてから設定温度に達するまでが、最もエネルギー消費が大きい状態なのです。冷房を付けてから、なかなか涼しくならないので、設定温度を20℃に下げて、少し涼しくなり過ぎたと感じると設定温度を元に戻すといった操作は、エネルギーを浪費する一番悪い操作方法です。
 このように、エネルギー消費について細かな配慮をしながら生活をしなければならない、そのわけは、原子力発電に依存しない社会、CO2 を排出しない社会を実現するには、生活様式の変更が必要だからです。私たちカトリック教会は、「今すぐ原発の廃止を」と訴え続けていますが、簡素な生活様式への変更が伴わなければ、説得力を持ちません。
 エアコンの設定温度を、環境省の推奨する温度に定めて、簡素な生活を目指す1週間と致しましょう。