2017年4月  2.友だちになろう
 4月。新しい年度が始まるこの時期は、新しい環境の中で、これまで一度も話したことがない人と出会う機会が一年のうちで最も多いのではないでしょうか。新入生や新入社員となった人たちにとっては、出会う人すべてが「知らない人」といった状況の中で、しかも生活のリズムも変わった中で、日々を過ごすことになります。日本の教会は、この4月の意向として「新入生・新入社員への励まし」を取り上げて、「勉学や仕事に慣れ、希望のうちに日々を過ごすことができるよう」祈ることを勧めています。
 新しい環境の中で一番大切のことは、仲間づくりです。小学校に入学する希望に燃えた子どもたちの心を表した童謡では「一年生になったら、ともだち100人できるかな」と歌われています。少子化の今日、一クラスの人数は30人ほどのところが多いとは思いますが、30人の友だちを作るのも大変なことでしょう。一人ひとりと、人格的な交わりをもつことで初めて、友だちの関係ができるからです。
 さて、友だちの関係を切り開くためには、「分かち合い」が鍵となります。自らの喜びや希望、あるいは心配事や不安を、身近で同じ体験をしている仲間と語り合うことです。「お友だちになろう」とか「お話ししていいですか」とか、語りかけるきっかけを作った後で、まずは自己紹介。「ボク、△△△。名前を教えて」とか、「〇〇××です。お名前は」などと対話が始まります。上手な切り出し方は「いま、どんな気持ですか。私は嬉しさと不安が入り交じって、ドキドキしているんですが、あなたはどうですか」といったフィーリングの分かち合いです。このような対話が重なれば、きっと友だちになることができます。
 例えば、30人のクラスの中ですべての人の間に関係ができると、そこには435本のチャンネルをもつネットワークが完成します。数式ではn(n-1)/2で、考え方は、30のチームが総当たりのリーグ戦をした時の試合数と同じです。この力強いネットワークで結ばれた共同体は、新しい環境で生活していく上での助けとなるばかりか、生涯にわたっての宝物となることでしょう。
 今、教会は、主の復活に向けての典礼暦を過ごしています。主が、弟子の一人ひとりに語りかけて友だちの関係を築き、13人のチームの78チャンネルの共同体の力で世界に新しいいのちを伝えたように、私たちも多くの友だちを作って希望のうちに日々を過ごすことができるように、祈ってまいりましょう。