2017年5月  1.アフリカの国々では
 アフリカには54の国と地域があって、11億7千万人が暮らしています。キリスト教徒はイスラム教徒とともに、人口の多くを占め、その比率は40%ほどと推定されます。ローマ・カトリックとプロテスタント各派の教会がありますが、地理的にサハラ砂漠以北に位置する国々では、イスラム教徒の比率が高くなっています。
 アフリカの国々では、経済発展が遅れている反面、天然資源が豊富で、その利権をめぐる紛争が絶えません。為政者たちは利権を奪い合う紛争を、民族の相違や宗教の相違にかこつけて対立をあおり、内戦や暴動、虐殺などが頻発して、たくさんの人々のいのちが奪われました。また、このような紛争が原因で、食糧が確保できず飢餓に苦しむ人々、住まいを奪われて難民となった人々も多く、そのしわ寄せは最も弱い立場に置かれている子どもたちに及んでいます。国境なき医師団の推計では、5歳未満の子どもたちは、感染症や栄養失調などによって5秒に一つのいのちが失われているそうです。その数は一日で約1万4千人、一年にすると350万人から500万人にのぼります。
 このような状況の中にあって私たちが最も大切にしなければならないのは、いのちをいつくしむ心でしょう。その模範となるのは、イエスのいつくしみです。いのちを大切にすること、いのちが活き活きと躍動するように助け合い支え合うことは、いのちをいただいた人間としての基本的な生き方の一つです。この生き方を進めていくと、やがてそこには和解や正義、平和がやってきます。
 新緑が息吹き、いのちの輝きを目にするこの5月に、教皇の福音宣教の意向に合わせて、アフリカに暮らすキリスト者たちの心に重ね、いのちをいつくしむ心をもつことができるように祈ってまいりましょう。