2017年5月  2.こども食堂
 五月晴れの暖かい日が続き、花が咲き乱れた行楽地には、親子で楽しんでいるほほえましい光景が目に飛び込んできます。大空に鯉のぼりが揺れるこどもの日の風景の陰で、日本でも子どもの貧困が深刻な問題となっている現状を、私たちはどこまで把握しているでしょうか。
 現在、日本の子どもの6人に1人は貧困状況にあるといわれていて、中でもひとり親家庭では2人に1人といった高い貧困率なっています。ところが、その実態は、なかなか掌握することが難しく、そのために行政も社会福祉団体も、対策を講じにくいのが実情です。ドメスティック・バイオレンス(DV)が、きわめてプライベートな空間でなされる行為であるがゆえに、実態を外部から把握するのが難しいように、子どもの貧困もなかなか表面化しません。もう手遅れに近い状態で発覚される以前に、適切な対応が取られることが切に求められています。
 このような状況の中で、世界的に評価されている事業として「こども食堂」を挙げることができるでしょう。日本でも、2013年に子どもの貧困対策法が成立し、当時20カ所だったこども食堂は2016年夏の統計では全国に300カ所を越えて開設されるまでに至りました。安価であるいは無料で栄養のバランスがととのった食事を提供し、子どもの居場所を確保し、また必要に応じて学習支援など補助的な事業も展開されています。貧困状態にある子どもだけでなく、日々一人で食事をすることが多い子どもなども混じり合って、総合的な児童福祉の一つとして効果を上げています。
 カトリック教会では、路上での生活を余儀なくされている人たちのために、夜回りの活動や炊き出しなどの食事のサービスが提供されてきました。「こども食堂」を開設した教会はまだ数は少ないものの、その活動に取り組んでいます。
 5月の日本の教会の意向は「子どもの貧困の解消」です。日本の教会の使命の一つとして、この意向を捉え、教会としてこども食堂に関心を示し、その活動に加わっていくことができるように、祈りと犠牲をささげてまいりましょう。