2017年6月  2.マイノリティである日本の教会
 バチカンの最新の統計によると、世界のカトリック人口はこの5年間で7.4%増加し、今年4月に12億8500万人に達しました。なかでも、アフリカのカトリック人口は2010〜15年で19.4%の成長を遂げました。このようにアフリカでの成長が著しい一方、ヨーロッパほか他の大陸では教勢は停滞し、慢性的な司祭不足に直面しています。
 世界で最もカトリック信徒が多い国はブラジルで1億7200万人です。そして、メキシコ、フィリピン、米国、イタリア、フランス、コロンビア、スペイン、コンゴ民主共和国、アルゼンチンが続きます。地域別では、世界のカトリック信徒の半数は南北のアメリカ諸国に住み、ヨーロッパには22.2%、アフリカには17.3%、アジアには11%が暮らしています。そして、オセアニアと南太平洋地域は1%に満ちません。
 ところで、日本の教会は、世界の教会と協力して歩むことができるようにと、今月の意向を掲げています。世界に13億人の兄弟姉妹が暮らす中で、わずか40万人ほどの日本カトリック教会は、小さな小さな羊の群れにすぎません。日本の人口に占めている割合としても、0.3%ほどで、マイノリティ(少数派)の極みともいえるでしょう。このような状況の中で、私たち一人ひとりに与えられた使命とは、いったいどのようなことなのでしょうか。どのような領域で、どのような方法で、世界の教会と協力することができるでしょうか。
 1984年に日本の司教団は、「日本の教会の基本方針と優先課題」を発表しました。そして、たくさんの人を教会に招き、洗礼の恵みに導き、私たちとともに歩むことができるようにといった「直接宣教」と、この社会が福音の価値観に満ち溢れるようにといった「社会の福音化」の二つの基本方針を掲げました。統計によると、日本ではこの10年あまりの間にカトリックの人口が増えた状況は見ることができませんが、原子力発電に反対したり、また、新しい生命科学の応用について警鐘を鳴らすなど、社会の福音化に向けて数々のメッセージを発信してきた足跡を見ることができるでしょう。特に、『いのちへのまなざし 増補新版』を16年ぶりにこの3月に発表して、私たちの生活がいのちを大切にし、地球をいたわりながら生きる方向をはっきりと差し示しています。
 アジア諸国の中で唯一のG7サミットであり、科学技術を発展させ経済的な成長を遂げて先進諸国の仲間入りをした日本が、その途上で経験したさまざまな困難や課題について、カトリック教会としてきちんとした評価と反省を示すことも、世界の教会に対する責任の一つと言えるでしょう。
 マイノリティである日本の教会が世界の教会に対してどのような働きができるかをともに考え、同時に祈る一週間といたしましょう。