2017年6月  5.日本の軍事費
 日本国憲法第9条に示されているとおり、日本は戦争を放棄しました。ですから軍事費と表題に掲げましたが、一般的には防衛費と表記しています。戦争を放棄しましたので、軍隊は存在しませんが、名称を自衛隊とした国防軍が、機能を陸海空に分けて、日々活動しています。その軍事力は、実は世界の10本の指に数えられるほど充実しています。
 今年の3月27日に成立した2017年度予算では、米軍再編関連費用を含む防衛費の全体は過去最大となって、その額は5兆1251億円となりました。前年度当初より1.4%増の予算となり、5年連続して増加しています。北朝鮮が開発を進める弾道ミサイルへの対応策を強化するほか、中国を念頭にした南西諸島の防衛にも力点を置いた点が特徴的です。極東アジアでの軍事的緊張が続いていますが、つい先日、防衛省は2018年度予算に陸上配備型の新たな迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入に向けた関連経費を計上するよう要求する方針を固めました。
 ところで、この防衛費の予算は、全歳出の1%程度に押さえ込む努力が続けられてきました。防衛費の限りない増加を防ぐために、1976年の三木内閣の策定した防衛大綱にこのことが掲げられて以来、実際には1%を多少上回った年もありましたが、確かに歯止めの一つになっています。一方、世界各国の軍事費をその国のGDPに占める割合で比較すると、サウジアラビアが群を抜いて、10%を超える値となり、UAEやイスラエルも5%を超えており、石油産出国・中東の軍事費の大きさが認識できます。次いでロシアが5.3%、アメリカ合衆国が3.3%、中国は1.9%となります。軍事支出上位陣の国はおおよそ1%から2%台に収まっており、日本の1%はかなり低い水準であることが分かります。
 教皇が掲げる世界共通の意向は、国の指導者たちが武器売買の根絶にむけて断固とした姿勢を取るようにと、呼びかけています。今回は日本の防衛費、各国の軍事費が国家財政に占める比率を概観しましたが、もうこれ以上軍事費が増大することがないように、各国が軍備縮小に向けてともに歩むことができるように祈ることも、とても大切なことです、テロの根絶と平和の実現は、貧困の撲滅でしか実現できるものではありません。軍事費が少しでも貧困の対策に使われるように、心を合わせて祈ってまいりましょう。