2017年8月  1.心で受け止める
 教皇は世界共通の意向として、芸術家を取り上げ、被造物の美しさに気づく助けとなるようにと祈ることを勧めています。
 私たちは日ごろ、頭を使って、論理的にしかも合理的に思考することにならされて生活しています。そして、論理的にしかも合理的あるいは効率的に課題を解決する能力の程度によって、その人を評価していることも一つの事実です。その能力の積み重ねによって、人類は科学技術を進歩発展させてきたのです。
 ところが、まだ解明されていない被造物の神秘がたくさん存在していることも事実です。その最たるものに生命の誕生と伝承ということができるでしょう。そして、その神秘の奥には、私たち人間の力をはるかに超える、大いなるものが存在し、私たちキリスト教はそれを三位一体の神として信仰の対象としています。論理的に説明できない神の存在は、論理を越えた感性によって受け止めるほかありません。この心を使って、感性で受け止める神の存在の確認は、被造物の美を表現する芸術と通じるところがあるはずです。
 そして、この心で受け止める感性は、実は祈りの基本にも通じています。もちろん、頭を使って、イエス・キリストが私たちに何を伝えようとし、また神がひとり子を私たちにお与えになって、苦しみの後に十字架につけられて死に、復活して永遠のいのちをお示しになったかを理解しようとすることも大切です。しかし、同時に心を柔らかくして、神からのメッセージに敏感になることもとても大切です。
 神がお造りになったすべての被造物の美しさを私たちに伝えてくれる芸術家たちが、祈りの心をもって、創作活動に励むことができるように、そして私たちも、神からのメッセージを心で受け止めることができるようにと祈りながら、この一週間を被造物の美しさに触れながら過ごしてまいりましょう。