2017年9月  2.愛の実践は小教区から
 カトリックで洗礼の恵みをいただいた人は、その教会の洗礼台帳に、基本情報、例えば、氏名、洗礼名、洗礼の年月日、父母の名前や、代父母の名前、洗礼授けた司祭などが記載されます。もしその信徒が結婚すればその情報も書き加えられますし、死亡した場合には、葬儀を執り行った教会から洗礼を受けた教会に連絡が入り、その台帳に死亡が記載されます。日本国民として生命をいただいた人が、出生届によって戸籍が起こされ、死亡届によって除籍される仕組みの教会版ということができるでしょう。
 居住する市区町村に現住所を定める住民登録あたる様式もカトリック教会の仕組みの中にあります。自分が所属する小教区の信者名簿に記載されることで、ローマの聖座とのつながりを確たるものにしています。教皇フランシスコが任命した教区長(司教)、そしてその教区長から任命された主任司祭をとおして、教会のハイアラーキ(階統制)のなかに位置づけられ、その教会の主任司祭の司牧のもとで、教会生活を送ることになります。ですから、引っ越しなどで他の地域に移るとき、引っ越し先の教会に籍を移します。所属していた教会の主任司祭に連絡し、転出証明書をもらい、転居先地域の教会の主任司祭に転出証明書を提出してください。国外の場合は洗礼証明書などが発行されます。このように、所属している教会は、信徒にとってとても大切な場所になります。
 一方、それぞれの小教区は、地域によって区分されています。東京や大阪などの大都会では、居住している場所の小教区に所属せずに、交通の便がよい場所の小教区(教会)に籍をおく場合もありますが、原則は居住している場所にしたがって所属する小教区が決まることになります。
 さらに、小教区は地方教会(ローカルチャーチ)の末端の組織ですから、その教会を構成する人々は、洗礼を受けて教会活動に参加している人だけでなく、その小教区の地域に居住しているすべての人が構成要因であるといった、広義の教会の解釈もあります。
 さて、教皇は9月の意向で、小教区の教会が「目に見える愛の実践の場となりますように」と祈るように勧めています。それぞれの信徒が所属する教会の地域で愛の実践が叶うならば、愛に満ち溢れた世界が誕生することになるという論法です。エコロジーの標語と同じように、まさにThink Globally, Act Locallyです。自分のいちばん身近な小教区に愛が満ち溢れますようにと祈りながら、この一週間を過ごしてまいりましょう。