2017年10月 2.諸宗教の貢献 |
今月の日本の教会の意向は、「諸宗教の貢献」です。私たちの周りには多くの宗教があり、信仰の対象はそれぞれ違いますが、互いに自分たちの宗教が正しいと主張し合うのではなく、その違いを認めて、交わりの模範となるように、と呼びかけています。 昨年聖人となられたマザーテレサは、まさにこの精神を生きておられました。インド・コルカタでの奉仕活動において、ケアする相手の宗教を尊重する姿勢を貫き、臨終の時には、相手に寄り添い、その人の宗教で看取りました。相手の状態や宗派を問わずにすべての貧しい人々のために働いた奉仕活動は、常に相手の立場に立つという姿勢で一貫しています。そのことが世界から関心を持たれ、ノーベル平和賞を受賞されたことは多くの方の知るところでしょう。 また、日本においては、東日本大震災の被災地での支援活動でもその姿を見ることができるでしょう。カトリック教会では、カリタスジャパンが中心となって支援活動に従事してきましたが、被災地では、ボランティアたちが同じカリタスのチョッキを身に付けて活動していることから、被災者の方々は彼らを「カリタスさん」と親しみをもって呼び、大きな助け手となっています。カリタスさんは、カトリックの信徒のみならず、他の宗教の方々やあるいは宗教を持たない方々など、さまざまな方々で構成されています。宗派に関係なく、ただ一点の被災地でのボランティアを担う、ということで結ばれています。同じ志を持ったボランティアとして被災地で共に協力しながら働く姿は、甚大な被害を被った被災地を、どれほど元気づけたことでしょう。 今年30周年を迎えた「世界宗教者平和の祈りの集い」が8月に比叡山で行われ、世界の諸宗教の代表者が集いました。教皇フランシスコは次のメッセージを送っています。 「例年のこの宗教サミットは、対話と友情の精神を築いていくために重要な貢献を果たしております。これにより、人類家族に新たな平和への道が開かれるよう、世界の諸宗教という花々がともに働くことができます。祈りは、平和に対するわたしたちの努力に息吹を吹き込み支えます。というのも祈りは、人として互いを尊重する気持ちを深化させ、わたしたち相互の愛のきずなを強め、良好な関係と兄弟的な連帯を育てるための断固とした努力を力づけるからです。」 諸宗教が力を合わせて、世界平和に貢献できますように、と私たちも共に祈ってまいりましょう。 |