2017年10月  4.自死防止のために
 日本の教会は今月の意向として、諸宗教の貢献を掲げています。地震や豪雨などの災害の際に、諸宗教が協力して復興支援を行っていることはよく知られています。諸宗教が足並みをそろえて活動をしている領域に自死(自殺)防止と、自死者の家族のためのサポートがあります。その一つの成果をご紹介いたしましょう。
 京都府は自殺対策の一環として2016年から、3月1日を「京都いのちの日」として制定して啓発活動を行っています。この日に合わせて、浄土真宗本願寺派総合研究所は、自死で苦しむ人々の支援に役立てようと、約30ページのブックレット『自死の苦悩を抱えた方へ 宗教者からのメッセージ』を作成しました。この冊子は、「死にたいほどの苦悩を抱える方へ」「自死の苦を抱える方へ」「大切な人を自死で亡くした方へ」の三つの章からなり、浄土真宗本願寺派、浄土宗、真言宗、真宗大谷派、法華宗、曹洞宗はじめ仏教各派の他、立正佼成会、日本カトリック司教団、日本基督教団、救世軍など、諸宗教の宗教者の計65のメッセージが掲載されています。
 生きる望みを失ってしまった人、病気で衝動的に自死へのあこがれを抱いてしまう人などが、神社でも寺院でも、またキリスト教やイスラム教などの教会・施設でも、どこでも自らの苦しみをありのままに語り、助けを求めることができるようにと、宗教の枠を越えて活動を行うことは、現代社会においてとても重要な役割の一つです。
 今週は、自死の苦しみを抱いている方々のために祈り、そしてまた、この課題にともに足並みをそろえて活動している諸宗教団体の方々のために祈る一週間といたしましょう。