2017年11月  2.アジアのキリスト者
 2016年の統計によると、日本のカトリック人口は、434,054人で人口の0.344%にあたります。キリスト教全体でも信徒数は約260万人程度であり、人口比では明治になってキリスト教が禁教ではなくなってから1%を超えたことはありません。このように、日本でのキリスト教は、まさにマイノリティです。因みに、統計の上では神道が約1億600万人、仏教が約9,200万人となっています。合計すると日本人の全人口を上回ってしまいますが、一人が仏教寺院の檀家と鎮守の氏子の両方に数えられている場合があって、このような統計になっています。
 アジア諸国の状況を見ると、フィリピンで93%、東チモールで98%がキリスト教徒ですが、韓国が30%弱と比較的高い比率を占めているほかは、ほとんどの国で10%に満ちていません。
 このような状況の下で、キリスト教の自らの教勢を拡大しようとすれば、摩擦や軋轢、ときには紛争にもなりかねません。教皇が11月の意向として掲げていることは、このような宗教の多様性の中にあって、キリスト者が福音の証し人となって、他の宗教を信じる人とともに正義と平和の推進に向けて、そして人権の擁護に向けて歩めますようにと、理解することができるでしょう。
 武力を用いた紛争によって、自らの主張を他の人に強いる集団は、その正当性を納得させる方便として、「宗教」の仮面をかぶります。IS(イスラミック・ステート)はその典型です。アッラーの神もコーランも人殺しを認めていません。他の人のモノを略奪することも認めていません。しかし、暴力の行使を正当化しようと、いつも「ジハード(聖戦)」であることを強調します。このような過激派の主張に惑わされず、イスラム教を含めたアジアの諸宗教が、対話、和睦、相互理解を深めることができるようにと、ともに祈ってまいりましょう。