2017年11月  3.行方不明者
 11月は死者の月です。ミサの中では、「復活の希望をもって眠りについた私たちの兄弟姉妹と、すべての死者を心に留め、あなたの光の中に受け入れてください」と祈ります。今月は、このことばに心を合わせて、家族や友人知人で天に召された人々のことを思い起こし、心を重ねて祈りましょう。
 ところで、たいへん悲惨な殺人事件が絶えることがありません。そして、その犠牲者のなかには、家族や友人知人との交わりを断って、独りぼっちで生きている人たち、そして生きていること自体が辛くて、死に向かって歩んでいる人たちが含まれていることが分かってきました。いわゆる「行方不明者」です。
 2015年の統計ですが、警察が発表した行方不明の届け出件数は、82,035人で、ここ数年は8万人台前半で推移しています。性別では、男性が65%、女性が35%で、男性の不明者が多いことが分かります。また年齢別では10代が最も多く、20%ほどになっています。
 この行方不明者のほとんどは、発見にいたって事なきを得ますが、約2%の2,000人ほどが未発見のままとなって毎年加算されていくのです。その中には、人知れずいのちを落とした方々もたくさん含まれていることでしょう。
 行方不明者となって、家族や友人知人から隠れて生活する方々は、たいへん孤独な日々を送っていることでしょう。今月の日本の意向は「孤独死をなくすために」です。かかわりを断って孤独な生活を選ばざるを得なかった方々の痛みや苦しみに想いを寄せて、一日も早く心の平安を取り戻すことができるようにと、祈りをささげてまいりましょう。